神前式結婚式とは 神社・神殿で和装挙式ならではの魅力

目次
神前式とは?
神前式(しんぜんしき)挙式 他の挙式との違いは?
神前式は、キリスト教式、人前式、仏前式と並ぶ挙式スタイルの一つ。神社やホテル、結婚式場に設けられた神殿で行われ、神前式ならではの儀式があることが特徴です。他の挙式スタイルとの違いは、神前式は家同士を結ぶ意味合いが強く、かつては親族だけを集めて行われるのが一般的でしたが、最近は、親族以外の列席が可能なケースも増えています。
室町時代の武家の結婚式が起源と言われ、現在の神社で行う神前式スタイルの始まりは、1900(明治33)年に行われた大正天皇の結婚式だとされています。
神前式挙式の人気の秘密・メリットは
日本人にとって、神社は思っている以上に身近な存在です。初詣やお祭り、合格祈願や縁結び祈願など、節目やお願い事がある度にお参りしている人も多いのではないでしょうか。
神前式は、そんな「日本人の心」を再認識できる挙式であることが大きな魅力。普段なかなか立ち入ることができない本殿や拝殿に昇殿し、日ごろ体験できない儀式を執り行える特別感も人気の理由と言えそうです。また、日本文化の美しさを象徴する和装に身を包むことができる点、人前で誓いのキスをしなくて良いところも、シャイなふたりには魅力の一つかも知れませんね。
神社の結婚式に遭遇すると幸運?!
神前式挙式の服装
新婦の和装は白無垢、色打掛、黒引き振袖
神前式の新婦の衣裳は、白無垢が一般的。
白無垢は最も格式が高い花嫁衣裳とされ、白には「嫁ぎ先の色に染まる」という意味があります。一番上に羽織る打ち掛けや、その下に着る振袖、小物類もすべて白色のもので統一するのが伝統です。
でも、実は色打ち掛けや黒引き振り袖、ウエディングドレスを着て神前式に臨んでも構いません。白無垢以外の衣裳を希望する場合は、念のため神前式を希望する会場へ相談しておくとスムーズでしょう。
色打ち掛けは色・柄が華やかな打ち掛けを羽織ったスタイルで、最近は白無垢のような淡い色合いの色打ち掛けもあります。 また、黒引き振袖は「お引きずり」とも呼ばれ、江戸時代後期から昭和初期の婚礼で一般的に着られていた花嫁衣裳で、レトロな雰囲気と動きやすい点が魅力です。
唯一、気をつけたいのはウエディングドレスを着たい場合。神様の前で誓いを立てるので肌の露出が少ないデザインを選ぶことをおすすめします。挙式は白無垢、披露宴で色打掛・黒引き振袖・ウエディングドレスへお色直ししてもステキですよ。

新婦の髪型は文金高島田か新日本髪に 綿帽子は白無垢だけ
和の花嫁の美しさは、着物+ヘアスタイルで完成するもの。
日本の伝統的な婚礼の髪型は、頭頂部で束ねた高い髷(まげ)が特徴の「文金高島田(ぶんきんたかしまだ)」に、綿帽子(わたぼうし)か角隠し(つのかくし)を着ける正装スタイルです。綿帽子を着けることができるのは白無垢だけで、「挙式が終わるまで新郎以外の人に顔を見せないようにする」という洋装で身につけるベールと同じ意味合いがあります。
角隠しは、白無垢・色打掛・引き振袖のどれに合わせてもOKです。なお、最近は形式にとらわれず、新日本髪と呼ばれる現代風のアレンジを加えた髪型や、レースなどを使った洋風の綿帽子、洋髪+生花アレンジを合わせるなど自由度が高まっています。

新郎の和装は五つ紋付羽織袴
新郎の衣裳選びで気をつけたいポイントは、新郎新婦の「格」を揃えること。
新婦が正礼装(白無垢・色打掛・黒引き振袖)の場合は、新郎も正礼装である五つ紋付き羽織袴を着用しましょう。羽二重(はぶたえ)という織り方で織られた黒の羽織、黒羽二重(くろはぶたえ)が最も格式が高いとされ、両胸・両外袖・背中心の計5箇所に染め抜き紋が施されているのが特徴です。
レンタルの場合は、紋付き袴に「通紋」と呼ばれる模様がすでに入っていることが多くなっています。通紋ではなく自分の家の家紋を入れたい場合は、プリントシール式の張付紋(はりつけもん)を入れられるかを確認しておきましょう。新婦がウエディングドレスの場合は、モーニングの洋装コーデで格を揃えても大丈夫です。

両親の服装は正礼装で
和装の場合、母親は五つ紋付き黒留袖、父親は黒の紋付き羽織袴を着用するのが一般的です。
新郎の正礼装と同様に五つ紋付きの黒羽織袴は最も格式の高い男性着物であり、新郎と比肩する立場であるという格を保つことができます。
なお、両家の「格」を揃えることもポイント。和装と洋装に分かれる場合は、母親は黒留袖と黒のアフタヌーンドレス(夕方以降はイブニングドレス)、父親は黒の紋付き羽織袴とモーニング(夕方以降はタキシード)といったように、どちらも正礼装で釣り合いがとれていれば問題ありません。

親族の服装は正礼装あるいは準礼装
兄弟、姉妹、親族の衣裳は、両家の親よりも少し控えめな正装または準礼装がベスト。
女性親族は、和装なら色留袖か訪問着、未婚であれば振袖がおすすめ(格式が高い黒留袖は両家の母親が着ることが多いため)。お祝いにふさわしい明るめの色合いや、おめでたい柄があしらわれたものが良いでしょう。 洋装の場合は、派手過ぎないエレガントな雰囲気のワンピースやツーピースなどがおすすめです。履物を脱いで神殿に上がるため、必ずストッキングを履いて。
男性親族は、和装なら色紋付きに三つ紋や一つ紋が良いでしょう(最も格式の高い黒紋付きは新郎や両家の父が着用するため)。
洋装の場合はディレクターズスーツやダークスーツに白やシルバーグレーなどのネクタイなど、チャペルでの挙式と同様の服装で問題ありません。
神社・神殿での挙式の流れ
神前式には、「三三九度」をはじめ、普段は体験できない儀式が数多くあります。もともと神前式は「家と家を結ぶ」という考えに基づいた結婚式なので、新郎新婦ふたりで行うものや親族が参加する儀式が多くあり、それぞれにちゃんとした意味があります。式の流れや作法など、ちょっと難しく感じるかもしれませんが、意味が込められた儀式を一緒に行っていくことで、より両家のつながりを感じられそうです。
神前式がどのような流れで行われ、どのような意味があるのかを解説します。神社や神殿によって儀式に多少の違いがありますが、所要時間の目安は20分~30分程度です。
1.参進の儀(花嫁行列)
2.昇殿(入場・着席)
3.修祓(しゅばつ)の儀

4.祝詞奏上(のりとそうじょう)
5.三献の儀(さんこんのぎ)、三々九度
6.指輪の交換
7.誓詞奏上(せいしそうじょう)
8.玉串奉奠(たまぐしほうてん)
新郎新婦が「玉串」と呼ばれる榊(さかき)の枝に紙垂を付けたものを神に供えて拝礼します。神社にもよりますが、「二拝二拍手一拝」の作法で行われます。
玉串は、神様に願いを伝えることができるたった一つの尊い道具とされています。ふたりの想いを揃えて、葉と葉が寄り添うように奉納しましょう。新郎新婦に続いて両家の代表が同様に玉串を供えることもあります。
9.神楽奉納

10.親族盃の儀(しんぞくはいのぎ)
11.斎主一拝
12. 退場
神前式挙式でかかる費用は?

神前式挙式・初穂料の平均費用は 33.1万円
神前式にかかる挙式料の平均は33万1000円。これは初穂料(はつほりょう)と呼ばれる神様へのお礼として納める費用だけを指しているのではなく、神社・、ホテルや結婚式場の神殿といった会場の区別がない平均額となっています。実際の費用や挙式料に含まれる内容は、会場や利用プランによって幅があると考えた方が良いでしょう。
※参考)リクルートブライダル総研「ゼクシィ結婚トレンド調査2024(首都圏)」調べ
神社であげる挙式と神殿であげる挙式の違い
神前式の会場は、神社、ホテル・専門式場などの神殿があります。
神社での挙式は神社内に披露宴会場があるかどうか、衣裳や着付け、写真撮影の手配も可能かどうかが費用の分かれ目に。神社での挙式+衣裳や撮影代などを含む挙式プランを用意している場合は比較的リーズナブルに式を挙げられることが多いようです。
逆に、自分たちで衣裳や写真撮影、披露宴会場までの移動の手配をする必要がある場合は、その分、費用がかさんでしまいがち。
ホテルや専門式場内の神殿での挙式では、移動や準備に手間が掛からない点がメリット。挙式・衣裳+食事会、挙式・披露宴のパックプランなど、複数のプランから予算や希望に合うものを選ぶことで費用の調整が可能です。
挙式の後の披露宴・お食事会
神前式での挙式後に食事会や披露宴を行う場合の費用は、他の挙式スタイルを選んだ場合との違いはあまりないでしょう。
挙式スタイルはどうあれ、挙式のみ行なって披露宴はなしの場合は費用が抑えられ、挙式・食事会どちらも家族や親族のみの少人数で行う場合、挙式は家族・親族のみ、披露宴は友達も呼んで大人数で行う場合で、料理や演出にかかる費用が大きく違ってきます。
また、衣裳代は平均費用が白無垢19万5000円・色打掛30万7000円・ウエディングドレス29万6000円・カラードレス26万4000円※となっているため、選ぶ衣装や小物、ヘアスタイルにもよりますが、白無垢から色打掛にお色直しする方が、ドレスへお色直しするよりも高くなる可能性もあります。
※参考)リクルートブライダル総研「ゼクシィ結婚トレンド調査2024(首都圏)」調べ
結婚式全体にかかる費用については以下の記事も参照してください。
神前式挙式のQ&A
神前式で挙式するかどうかを決める際に、迷いやすいことをQ&Aで解説します。
神前式を行うにあたっての心構えや準備の参考にしてください。
両家の宗教は関係ある?
神前式そのものは、新郎新婦の信仰と関係なく挙式を受け入れてもらうことができます。ただし、両家の親族が特定の宗教を信仰している場合は、問題が生じる可能性も。
神前式に限ったことではありませんが、挙式スタイルを選ぶ際は、両家が信仰している宗教があるかどうか、事前に確認して話し合っておきましょう。
ふたりだけ、家族だけでの挙式は可能?
友人も挙式に参加できる?
神前式は本来「家と家の繋がりを結ぶ儀式」であり、社殿のスペースに限りがあることなどから神社によって「列席者は親族のみ」という場合もあります。
最近は親族以外の参列OKとしている神社も増えてきたので、友達など親族以外の人も列席してほしいと考えている場合は、可否を事前に問い合わせておきましょう。
ホテル・式場の神殿は収容人数の上限はありますが、その範囲内であれば友達や職場関係者でも参列可能です。

写真・動画撮影はできる?
カメラマンをいれられる?
申込はいつから?流れは?
神前式を希望する新郎新婦や家族は、他の挙式スタイルよりも大安などのお日柄を気にしやすい傾向があります。ですので、春・秋の過ごしやすい季節の大安は1年前でも埋まってしまっている場合もあります。
また、神社の場合は年末年始や神社の祭事と重なる日は挙式できないことも。また、直接の申し込みやスケジュール相談が可能な場合と、提携しているホテルやフォトウエディング業者を介してでないと申し込みできない場合があります。
気になる神社の候補がある場合は公式ホームページなどで結婚式の予約方法を早めにチェックしておきましょう。
初穂料を入れる封筒は?
神社に納める初穂料を入れる封筒は、結び切りの水引き付きの「のし袋」を使うのが一般的です。
上袋の表面には毛筆や筆ペンや万年筆で「初穂料」または「玉串料」と両家名を記入。封入口をのりで閉じないようにして、その場で金額が確認できるようにします。
また、初穂料を包んだ封筒は、慶事用の袱紗(ふくさ)に入れて持参するようにしましょう。袱紗に包むことで、神様や神社に対する敬意を表すことができます。

決まった儀式以外の演出はできない?
神前式で行う儀式は、神社ごとに決まっている場合がほとんど。自分たちが考えた演出を入れることは基本的にはできませんが、挙式の前後に思い出を深める演出を行うことは可能です。おすすめの演出をいくつか例に挙げてみますので、参考にしてみてください。
●紅さしの儀・筥迫(はこせこ)の儀
いずれも花嫁支度の仕上げとして、新婦母が新婦の幸せを願いながら挙式に臨む身支度の仕上げを手伝う儀式。洋スタイルのベールダウンに通じる感動的なシーンです。
紅さしの儀は花嫁の口紅を塗ってあげる儀式。和装姿の新婦に真っ赤な口紅をさすので美しさが際立ちます。写真にも残しやすい、感動のシーンです。
筥迫の儀は、華やかな刺しゅうが施された花嫁小物の筥迫を新婦母から新婦の胸元に差し込む儀式です。かつては母親から新婦へと、代々受け継がれていた儀式なので、紅さしの儀を母親に、筥迫の儀を母方の祖母にお願いしてもステキです。
●折鶴シャワー
キリスト教式や人前式で行うフラワーシャワーを「折り鶴」にアレンジしたもの。鶴は夫婦仲が大変良く一生を連れ添うことから、結婚にぴったりのモチーフと言えます。ゲストへ送る招待状に折り紙を1人5~10枚程度同封して折り鶴を折る協力をお願いしたり、当日の挙式の待ち時間にゲストに折ってもらえば参加型のセレモニー演出も兼ねられます。折り鶴シャワーを取り入れたい場合は、事前に可能かどうか神社や神殿のある会場に確認しておきましょう。
●水合わせの儀
新郎新婦それぞれの実家で挙式当日の朝に汲んできた水を、1つの盃やグラスに合わせて飲み干す儀式。異なる環境で育ってきたふたりが一つの家族となることを象徴しています。神前式の最中に取り入れるのは難しい場合が多いため、披露宴のケーキ入刀の代わりに取り入れても。
1つに合わせた水をお米の入った土鍋に注いで炊き上がったごはんをお結び(おむすび)にしてゲストにふるまう、記念樹の植木に注いで新居に飾ったり、庭に植えるなど、さまざまなアレンジが楽しめそうです。
取り入れたい場合は、会場のプランナーに取り入れるタイミングや可能なアレンジを相談してみましょう。
日本の神様に誓いをこめて
神前式は、日本の八百万(やおよろず)の神にふたりの結婚を報告し、両家の絆を深めることを目的とした、世代を超えて継承され続けている大切な日本の伝統儀式。三献の儀をはじめ、夫婦と家族の絆が強まる儀式が随所に感じられ、日本らしさを肌で感じながら誓いたいカップルにぴったりと言えそうです。
挙式後も、新年の初詣や子どもが生まれてからのお宮参りや七五三など、神社を訪れる機会がたくさんあるので永くお付き合いを続けていくこともできます。
ホテル・専門式場の神殿も神社から神様の御霊を分けてお祀りしたものですので、どの神社の神様の御霊を祀っているのか、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
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